
平均ベクトルμ 分散共分散行列Σ の多変量正規分布からXi(i=1,…,N)のデータが得られたとします.
その時,それらのデータをそのまま用いるのではなく,重み付けした統計量ベクトルを以下に定義します.
rは低減パラメータであり,r=0.1,0.2あたりが良く用いられます.また,r=1.0の時,ホテリング統計量に一致します.
さらにこの時分散共分行列は以下のように定義されます.
そしてこれらの統計量ベクトルと分散共分散行列からMEWMA最終統計量を以下のように算出します.
この統計量を用いて工程の変化を検知するわけですね.
この時,パフォーマンスの指標としてはARL(Average Run Length)というものを一般的に使用します.
これは,異常と判定されるまでどのくらい正常状態が続いたかを示すもので,正常状態におけるARLをIC-ARL(In Control ARL)と呼び,異常状態におけるARLをOC-Control(Out of Control)と呼びます.
IC-ARLは大きければ大きいほど良く,OC-Controlは小さければ小さいほど良いです.
シミュレーションなどで精度を比較する際はIC-ARLを一定の値に固定した上でOC-ARLの値を比較します.
まあ実際シミュレーションまわしてみましたけど結構MEWMA優秀なんですねえ.工程の微小な変化には圧倒的に強いです.
同じように工程の微小な変化に強い手法としてMCUSUM(多変量累積和管理図)がありますがそちらは勉強不足なので次回また機会があればまとめたいと思います.
工程管理のEWMAやCUSUM管理図を詳しく説明している書籍で仁科先生の本がありますので,もっとつっこみたい人はそちらを参照なさってください.